数年前のこと
イ爺の森の近くを歩いていたら 森の中で妙な物(下の写真)を見つけた。 一本の檜にアルミ製の棒の様な物が立て掛けてあったのだ。 近寄って見ていたら 「これ、良いじゃろう」と 嬉しそうな顔をしてイ爺が話しかけて来た。 初めて見る物だったので 「こりゃ、何ね?」と問いかけると 「梯子なんじゃ!一本立ちの木に登る時には便利でのう〜 こうやって使うんじゃ」 と棒を持ち、何やら操作すると 棒の横に踏桟の様な横棒が出て来た。 更に最頂部のフックが木の幹を挟んだ。 「なぁ!こうすりゃ梯子がズレんから、この位細い木でも安全に登れるとじゃ」 とイ爺は嬉しそうだ。 「昔は登れとったがの〜。年取って足が衰えたのじゃろうか? 木登りが恐ろしゅうなってのう〜。これを買うた〜」 とまるで子どもの様に満面に笑みを浮かべて満足げだった。 見るとイ爺の森の檜はどれも枝打ちが行き届いている。 と言う事は爺はこの木に登って枝打ちをしたのだろうか? 「この森の木全部爺さんが枝打ちしたんね?」と等と 爺はニャリと笑うだけで返事をせず 「やれ、仕事に掛かろうかの〜」と言い残し 森の奥へと消えて行った。 その日も山爺は元気そのものだった。
by terujiinoyamagoya
| 2019-09-08 19:52
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